フコイダンとヨウ素
ヨウ素とは、人にとって欠かせない栄養素の一つで、フコイダンとおなじく褐藻類に含まれる成分です。
褐藻類を食べる習慣がある日本人にとっては手軽に補給出来る栄養素です。
国によっては褐藻類を食べる習慣が無いために、ヨウ素不足が問題となることがあります。
日本では考えづらいことですが、国によっては塩や水にヨウ素を混ぜて販売しなければならないと言う規制がある程です。
ヨウ素は、甲状腺(のど仏の付近にあります)と呼ばれる器官で使われる栄養素ですが、甲状腺以外では使われないことから、からだに入ったヨウ素は全て甲状腺に集まります。
その後、甲状腺に集まったヨウ素は、甲状腺ホルモンに作り替えられるのです。
甲状腺ホルモンは、別名を成長ホルモンと呼ばれるもので、特に子供が発育するのに大きな役割を果たします。
また、細胞に酸素を取り入れる量やエネルギーを作り出す量を増やすという大きな働きも持っています。
発育段階が終わった大人になると成長に使われる事が無くなりますので、甲状腺は徐々に活動を低下させることとなり、作り出される甲状腺ホルモンの量も低下しますが、完全に分泌しなくなるようなことはありません。
この様に、ヨウ素は人間にとって必要な栄養素ではありますが、摂取しすぎることで健康を損なうことも考えられます。
特に、長期的な摂取過剰は問題だと考えられています。
ヨウ素の大量摂取は体にどんな影響があるのか?
2012年に国立がん研究センターから発表された研究によると、ヨウ素の大量摂取は甲状腺がんにかかるリスクを上げるのではないかと考えられています。
欧米でも、ヨウ素の過剰摂取による甲状腺がんの研究は行われたことがあるのですが、対象となった国はどれも、海藻を食べる習慣がありませんでした。
日本人は、普段から海藻に親しんだ国民性と言う事もあり、日本人を対象にして改めて研究を行ったのです。
この研究は、40歳から69歳までの男女5万人を約14年間追跡調査したもので、
海藻を食べる回数を、「2日以下/週」「3~4日/週」「ほとんど毎日」という、3つのグループに分けて甲状腺がんの発生率を調査をしました。
男性では大きな差が認められなかったものの、女性(特に閉経後の女性)には大きな差が見られました。
閉経前の女性では、海藻を食べる量と甲状腺がんの発生には全く関連が見られなかったのですが、閉経後の女性では「3~4日/週」では2.08倍、「ほとんど毎日」の場合は3.81倍と大幅に増加したのです。
このことから、特に閉経後の女性においては「海草類を食べ過ぎない」(ヨウ素の摂取に気をつける)ことが大事だと考えられるのです。