和食より洋食の方が健康的って本当?
健康に良い、ヘルシーな食事といえば誰もが思い浮かべる和食。
世界的にも、豆腐を始めヘルシーな食材が広まりを見せています。
寿司やラーメンと言ったあまりヘルシーでは無さそうな気がするものも流行していますが、ともあれ和食が健康的だというのは、日本人の多くに共通するイメージではないでしょうか。
かく言う私も、日本食=ヘルシーだと思っていました。
そんなイメージを大きく覆す、そんな研究が国立がん研究センターより発表されました。
がん研究センターのページを直接ご覧になりたい方は食事パターンと死亡リスクとの関連についてを
論文を直接ご覧になりたい方は、下記のリンクより参照ください。
http://journals.plos.org/plosone/article/file?id=10.1371/journal.pone.0174848&type=printable
洋風の食事が死亡リスクを減らす?
この発表が行われたのは、2017年4月のこと。
まず、134項目の食品・飲料の摂取量により、対象者の食事のパターンを3つに分けました。
「健康型」:野菜や果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海そう類、脂の多い魚、緑茶など
「欧米型」:肉類・加工肉、パン、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、乳製品など
「伝統型」:ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類、果物など
これらの食事を食べる、45?74歳の男女8万人を、平均14.8年間追跡調査をして、死亡した原因などについて調べたのです。
その結果が下のグラフです。
Q1からQ4と数値が増えるに従って、より健康型の食事、言い換えると、健康型の食事に分類されている食材を多く食べていることを表します。
誰もが想像する通り、健康型の食事は非常に良好な結果をあらわしています。
健康型の食事をする傾向が最も強いグループは、全死亡リスクが18%減、脳血管疾患死亡リスクはなんと37%も減少しています。
次のグラフが、欧米型の食事をした人たちのものです。同じく、Q1からQ4と数字が増えるほど欧米型の食事をしていることを表します。
欧米型の食事傾向が強くなることで、およそ10%も死亡リスクが減っています。
国立がん研究センターのページには、伝統的な食事におけるグラフは載っていませんでしたが、この調子でいくと、どうも良い数値であるような気はしません。
和食より洋食の方が健康的?
欧米型の食事をしている方たちの、ホッとしたような、嬉しいような声が聞こえてきそうなこの研究結果ですが、決してマヨラーと呼ばれるマヨネーズ愛好家が健康的だというわけではありませんので、誤解してはなりません。
2016年には赤肉や加工肉を食べる量が多いほど、死亡リスクが高く、健康に良くないと言う研究発表もなされています。
一方、日本人は赤肉や加工肉を食べる量が、世界的に見て少ない傾向にあります。
赤肉が死亡リスクを高めると言う研究は、毎日当たり前のように多くの肉を食べる方々にとってのものだということです。
グラフをよく見てもらうと気がつくかと思うのですが、特に欧米型のグラフにおいてはQ3のパターンが最もリスクが低く、Q4からは上昇傾向にあるように見えます。
欧米型が良いと言っても、限度があることが既に見え隠れしています。
健康型が良いと言っても、がんでの死亡リスクは言うほど変化が見えません。
この研究を行ったがん研究センターによると、欧米型が好結果を表している背景には幾つかの理由が考えられるそうです。
・日本人は欧米人に比べ肉類の摂取量が少ない
・コーヒーや牛乳・乳製品などの好ましい効果があらわれている
・欧米型の傾向が強くなるほど塩分摂取が少なくなる
これらの影響が表れているのではないかと考えています。
確かに、日本人の伝統的な食事は塩分を多く使う料理が多いです。
漬物や梅干し、塩鮭、塩サバなどなど、世界のどの国民よりも塩分を摂取する国民です。
なにせ、塩分摂取量の目標数値が8gもあるのです。WHOの推奨値が5gですから、塩分大好きな国民性がよく現れています。
本当はもっと少ない量を目標にしたいというのが厚生労働省の本音でしょうが、普段の生活からあまりにもかけ離れた数値を設定しても誰もついてこれません。
だから、泣く泣く8gを目標にしているのです。
しかしながら、世界トップレベルの長寿国だと考えると、いったい何がどうなっているのか不思議な気分になります。
とは言え、「健康型」の食事が一番であることには間違いありません。
「欧米型」の食材や食習慣を上手に取り入れながら毎日の食事をすることが、健康につながるのではないでしょうか。