原料について
フコイダンとは
フコイダンとは、コンブやワカメのネバネバに含まれる成分の名前です。コンブやワカメの様に、褐色をした(*1)海藻のことを褐藻類(かっそうるい)と呼びますが、褐藻類には人間の健康に役立つと考えられる成分がいくつも含まれており、注目されている成分のひとつがフコイダンです。
フコイダンの歴史
フコイダンは、1913年スウェーデンの学者H.Kylin博士によって発見されました。
沿岸地域では健康的な人々が多い傾向にあるので調査をしたのですが、海藻を採取している労働者の手が綺麗であることに目を付け、海藻には何か秘密があるのではないかと考えたと言われています。
博士は、海藻のヌルヌルしたものが作用していると考え、これが新たな成分であることを発見しました。
Kylin博士によってフコイジンと名付けられたフコイダンですが、その後国際的な命名規約のもとに、現在のフコイダンと言う名前に変更されました。
ちなみにフコイダンと言う名前の由来は、Kylin博士の研究に使われた褐藻類ヒバマタ種(Fucus)にあります。
フコイダン豆知識1
*1 乾燥わかめを始めとして、販売されている褐藻類の中には緑色をしているものも少なくありません。褐藻類は海の中にいる時は褐色をしており、水位が変化して海面に出ると緑色に変化します。
また、褐藻類の褐色色素は熱に弱いため、お湯に通すと熱に強い緑色の色素だけが残ってしまいます。
私たちが普段目にする褐藻類が緑色をしている理由は、こういったわけです。
フコイダンと原料
インターネットで検索すると、数多くのフコイダンが見つかりますが、その原料についても様々です。
沖縄モズク、トンガモズク、がごめ昆布、ヒバマタ、メカブ、ガニアシ、ダービリア、思いつくままに並べただけでもこれだけあります。
どの販売店も、自社製品の原料を褒めるのは当然ですが、実際にはどの原料が良いのでしょうか?
監修研究員より
謹啓
現在の日本において、フコイダンを専門とする研究機関は数える程しかないにも関わらず、昨今フコイダンに関連する商品は増加の一途を辿っています。
インターネット上では、虚偽記載や誤った説明、解釈も氾濫しており、研究者共々大変憂慮するとともに、強い憤りも感じています。
フコイダンを使われる理由は、健康維持だけにとどまらず、命に関わる場合もあるかと思います。
どうか名ばかりの商品に翻弄される事なく、より良い製品に出会うために
ご自身でもよく学び、少しでも疑問に思ったことは必ず問いただすようにして下さい。
我々は嘘偽りなく真摯にご説明申し上げ、患った方のそばに身をおく研究開発を続けることでこれからも社会に貢献して参ります。
それがフコイダンを知り、さらに研究を続けるものの義務であり、指名だと考えております。
敬白
-
主席開発責任者
大石 一二三Dr. Hifumi Oishi
1951年3月9日生まれ
獣医学博士
ボストン大学にてムコ多糖を専門に研究するなかで、病理学に傾倒する。
現在は、ハイドロックス株式会社の主席開発責任者として、人の健康と食品素材の関係を中心に研究開発を行っている。 -
ハイドロックス飯能研究所 所長
谷 久典 博士Dr. Hisanori Tani
1962年8月25日生まれ
農学博士
食品素材の研究が専門。食品素材を利用した研究にて学会発表を多数行っている。
現在は、ハイドロックス株式会社にて品質管理を行う傍ら、人の健康と食品素材を研究している。 -
技術開発部門部長
服部 隆史 博士Dr. Takashi Hattori
1961年12月1日生まれ
農学博士
素材開発を中心にした研究が専門で、食品素材を利用した研究論文を多数発表する。
現在は、ハイドロックス株式会社にて技術開発を中心に、人の健康と食品素材を研究している。
フコイダンを選ぶ際の注意点
今や、コンビニエンスストアでも販売されるようになったフコイダンですが、手軽に手に入るからこそ自分にあった良い物を、しっかりと選ぶ必要があるのではないでしょうか。そこで、当社の製品を開発した研究者である農学博士の谷久典先生にフコイダンを選ぶ際にどのような点に注意したら良いのかアドバイスをいただきました。谷先生によると、次のような基準で選ぶのがお勧めとのことです。
- ●基準1 高分子のフコイダンであること
- ●基準2 硫酸基の割合が14%以上であること
- ●基準3 ヨウ素が除去されていること
- ●基準4 配合されたフコイダンの量がはっきりしていること
- ●独自基準 フコイダンの活性が高いこと
基準1 高分子のフコイダンであること
長年フコイダンを研究してきた谷博士の結論は、高分子の多糖類であるフコイダンが力を発揮するには「高分子」の状態であることが必要だというものです。
世界中の研究者の間でも、これは共通の認識です。
販売店によって異なる主張
世界中の研究者がフコイダンは高分子の成分であると認識しているにも関わらず、販売されている商品には低分子フコイダン、両分子フコイダン、ナノ化フコイダンと言った商品があります。(*2)
フコイダン豆知識2
*2 ナノ化と言われる場合、「非常に小さな」=「低分子or超低分子」というイメージがありますが、実際はそんなに小さなサイズを指すわけではありません。
1ナノメートルであれば、水素分子が幾つか並んだ程度の大きさですから非常に小さいといえますが、ナノカプセルはもっと大きなものです。
具体的には、医薬品レベルで直径20~100ナノメートル、健康食品レベルで直径100~500ナノメートルの大きさです。
開発した医薬品メーカーの研究報告によると、数万~最大数百万サイズの分子量をつめることが出来るそうですので、高分子サイズだと考えるべきでしょう。
このことから、“ナノ化=低分子”ではなさそうです。
基準2 硫酸基の割合が14%以上であること
フコイダンには硫酸基が結合していることが不可欠ですが、その割合は14%以上が好ましいとのこと。
実験室で、特別に実験をするような場合はもっと少ない割合でも問題は見られないとのことですが、大量に生産したものを評価した場合に、14%以上ある方が実験結果が安定するのだそうです。
基準3 ヨウ素が除去されていること
特に、閉経後の女性では甲状腺の病気にかかるリスクを高めてしまいますので注意が必要です。
基準4 配合されたフコイダンの量がはっきりしていること
中には、フコイダンという表記があるだけの乾燥モズク商品だとか、モズクドリンクの様な悪質なものも存在します。
モズクをまるごと使えば確かにフコイダンも入っていると思いますが、消費者には判断のしようがありません。
ですから、少なくとも配合されているフコイダンの量が明らかにされていることが必要です。
以前はフコイダンの配合量を基準にして、単価やコストを試算することが可能でしたが、現在では様々な配合の商品が販売されるようになり、フコイダンの量が多い、少ないという基準だけでは判断が出来なくなって来ました。
消費者の皆様が何を重視してどのような商品を選ばれるのかは分かりませんが、フコイダンを多く飲みたい方はフコイダンの量を、その他の成分も重視しておられる場合にはバランスを考えて選ばれることでしょう。
このことから、どれだけのフコイダンが含まれているかを明らかにすることは、非常に大事なことだと考えます。
特別基準 フコイダンの活性が高いこと
最後の基準は、谷博士たちが考えている特別な基準です。
それは動物の体内でフコイダンがどれだけ反応しているか、活性を確認するということです。
具体的には、「LPL活性が40%以上あること」というものです。
フコイダンを摂取する効果的なタイミング
飲む量やタイミングを明記してよいのは医薬品だけと言うルールがあるためです。医薬品、健康食品など飲むタイミングや飲み方などがあります
フコイダンはこのようなことにも使われてます
フコイダンを混ぜた飼料を食べさせることで健康を増進したり、免疫力を高めたりするだけでなく、品質を向上させるという話もありました。
フコイダン豆知識3
動物の感染症とフコイダンにも密接な関係があります。
ウィルスというのは、非常に不思議な特徴を持っています。どのような生物も、細胞から形作られているのですが、ウィルスはそうではありません。
ウィルスが発見されるまでの生物とは、細胞分裂を始めとした手法を使い「自らを複製」する事が出来るものだと考えられていました。
ところが、ウィルスは増えることは出来るのですけれど、自らが増えるのではなく、生物の細胞に自らの遺伝子を注入し、ウィルス以外の細胞にウィルスを作らせると言う方法で増殖します。
フコイダン豆知識4
フコイダンはエビの養殖にも使われているのを知ってますか?
2012年に発表された論文は、ウシエビにフコイダンを食べさせることで免疫力を高めて病気にかかりにくくするというものでした。
家畜を始め、動植物を一定の範囲でたくさん育てる産業が頭を悩ませている問題は何と言っても「病気」です。
養殖というのは狭い場所で沢山育てることが求められます。そうなると、病気にかかりやすくなってしまうのです。
また、同じ種類の生物が一箇所に集められているということは、ひとたび病気が流行りだすと中々止めることが出来ません。
フコイダン豆知識5
フコイダンブタの飼育にも使われているんです。
エビとフコイダンを読まれた方は、同じ様な話と思われるかもしれませんが、エビがブタに変わっただけなんてことはありませんのでご安心下さい。
エビとフコイダンでも書いたように、狭いところで同じ動物を沢山育てるとどうしても病気にかかりやすくなります。
このことから、豚の飼育においても免疫力を高める為にフコイダンを使う研究論文はいくつも発表されています。
この記事を監修した人
大塚真紀
東京大学大学院医学系研究科卒。 内科医師として10年勤務。腎臓と透析が専門。現在はアメリカに滞在し主婦をしながら医療系記事ライティングに従事。医師としての記事の監修、医学生用のコンテンツ作成経験有。