緩和ケアとホスピスはどう違う?
皆さんホスピスや緩和ケアと言う言葉を聞いたことがあるでしょうか?
大抵の方にとって、これらの言葉はおよそネガティブなイメージを呼び起こすかと思います。
私は、数多くのがん患者やその家族と話をしてきましたが、これらの言葉を口にするとほぼ確実にネガティブな反応が返ってきます。
今回の記事が、少しでもネガティブなイメージを改善するきっかけとなったら嬉しく思います。
ホスピスと緩和ケアはどう違う?
ホスピスと緩和ケアは日本においては混同されがちな言葉ですが、厳密には違いがあります。
どちらも、患者様の苦しみを緩和して、生活の質を高めるという目的においては同じものですが、ホスピスの場合は余命の短い方を中心としたもので、終末期医療と呼ばれます。
一方緩和ケアは、余命には関係なく患者様の苦しみを緩和する為のケアです。
緩和ケアは治療成績を高める
緩和ケアは患者様の苦痛を和らげ、心のケアをするものです。もちろん、心のケアという側面も重要なポイントなのですが、実はそれだけでは無く、治療成績にも好影響を及ぼすのだそうです。
◇国立九州がんセンターの資料より抜粋
非小細胞肺がん IV期(新規診断)の患者様 151名のデータです。抗がん剤治療のみ 77名
抗がん剤治療+ホスピス 74名(治療開始と同時にホスピスも開始)
という内訳で行われたのですが、驚く事にホスピスを同時に行った場合、抗がん剤投与量が少なくて済み、また生存期間も長いという結果が出たのです。
今回のデータは肺がんIV期の患者様を中心としたデータになります(このため記載がホスピスになっています)が、I?III期までの抗がん剤治療においても同様の傾向にあると考えられています。
また、肺がん以外でも有効だと考えられています。
このことから、国立九州がんセンターでは初期の患者様でも緩和ケアの案内をしておられるそうです。
心情的には緩和ケアを躊躇われる方々が多いのも事実ですが、抗がん剤の量が少なくて済むと言う事は、患者様の負担が確実に減る事を意味します。
更に治療成績も良いと説明することで、九州がんセンターでは徐々にではありますが初期の段階から緩和ケアを受けられる患者様が徐々にではありますが増えているそうです。
がん治療においては、非常に有用な選択肢のひとつと言えるのではないでしょうか。