治療費が高額になりそうな時に(高額療養費制度H29.8~H30.7)
高額療養費制度とは
一般的には、高額医療費制度とも呼ばれているものですが、正確には「高額療養費制度」と言います。
お恥ずかしながら、私も調べるまでは「高額医療費制度」と思い込んでおりました。
さて、日本における医療制度の中でも大きな位置を占めるものは、健康保険(医療保険)制度、高額療養費制度、医療費控除の三つではないかと思います。
全ては、高度な医療を国民の手が届くものにする為に、医療費を補助することを考えて整備されています。
同じ目的のために整備された三つの制度ですが、健康保険制度とそれ以外には大きな違いがあります。
健康保険制度は、保険証を持ってさえいれば難しいことを考えなくても使えますが、残りの二つは「自分で申し出なければ」使うことが出来ないという事です。
せっかく、誰もが使えるように準備されているのに、申し出をせずにいるのは非常にもったいないことです。
今回は、この中のひとつである高額療養費制度についてお話したいと思います。
患者様全員が対象となる最も基本的な制度のひとつです。
「高額療養費制度」をわかりやすく説明すると、1ヶ月に支払った医療費が一定額を超えた場合にお金を戻してくれるという制度です。
基本的には、既に支払った費用に対して補助が受けられるというものですが、窓口で何十万円も払って、お金が戻ってくるまで生活できるような人ばかりではありません。
そのために、高額療養費の制度には「限度額適用認定証」というものがあります。
支払いが高額になることがわかっている様な場合には、予め申請をしておくことで窓口での支払額が「医療費の割戻し分を減額した」金額となります。
高額な医療費っていくらから?
高額療養費制度は毎月1日~月末までに支払った医療費(自己負担額といいます)が高額だった場合にお金が支給される制度です。
では、高額な医療費とはいくらからを言うのでしょうか?
これは、前年の所得と年齢によって変わってきます。
下の表が実際の基準です。(平成30年8月に制度が変更になります。変更が適用されたら内容を更新致します)
*厚生労働省保健局作成資料(高額療養費制度を利用される皆さまへ 平成29年8月診療分から平成30年7月診療分まで)より抜粋
この様に、どんなに収入が高い人でも、252,600円 +( 請求された医療費 ー 842,000円 )x 1%以上支払った場合、超過分が戻って来るのです。
高額療養費制度は、世帯全員の医療費が対象です。
勘違いしている方もおられますが、高額療養費制度は個人を対象としているわけではありません。
世帯が対象ですが、少し特殊な考え方をします。
具体的には
1.健康保険に加入している本人
社員としてお仕事でお勤めをされている方は、健康保険証を貰われていると思いますが、その方のことを言います。
国民健康保険に加入されている方の場合は、申請をした世帯主のことを言います。
2.同一世帯の方
健康保険証は、加入している本人以外の家族も使うことが出来ます。
家族会員とでも言う方が分かりやすいかも知れません。
加入者本人と家族会員として登録されている人のことを併せて世帯と言います。
登録されていなければ、例えご夫婦であってもお子様であっても別々になります。
勘違いしやすいところなので、もう少し詳しく説明します。
まず、家族会員に登録出来るのは、健康保険に加入している人の収入で生活している人だけです。
夫婦であってもそれぞれがお勤め先を持たれており、高い収入がある場合には、健康保険が別々の場合があります。
このような場合は、同じ世帯とは数えません。
同居や別居、または年齢は絶対的な条件ではありません。
もう少しわかりやすく書くと
◯=一つの家に住んで、どなたか1人の収入だけで生活しているご家族
◯=単身赴任のお父さんと、その収入だけで生計を立てているご家族
◯=大学をはじめ、一時的にご家族の元から離れて生活しているお子様
△=遠方のご両親など、その生計の全てを健康保険に加入している人が支払っている場合
×=遠方のご両親など、その生活費のほぼ全てを健康保険に加入している人が支払ってはいるが、ご両親が国民健康保険など、別の健康保険証を持っている場合
×=同居の夫婦だが、それぞれが別々の保険証を勤務先からもらっている場合
◯が同一世帯の例で、?が別世帯の例です。△は、同一世帯となる可能性がある例ですが、多くは別世帯とカウントされます。
同一世帯の医療費ならなんでも申請できるの?
世帯と併せて、もうひとつ重要なことがあります。
一回の診療や入院にかかった費用が21,000円以上のものだけが対象になるのです。*
*70歳以上の方は全額が対象です。
高額な医療費が何度も続けばもっと支払いの上限が下がります
更に、直前12ヶ月の間に3回以上高額医療費の対象なる支払いがある場合、4回目の支払いから上限が下がります。
下の表が実際の基準です。
*厚生労働省保健局作成資料(高額療養費制度を利用される皆さまへ 平成29年8月診療分から平成30年7月診療分まで)より抜粋
領収証がなければ申請できません。
病院で「領収証は再発行出来ません」と言われることがよくあると思いますが、「領収証」が無ければ申請できませんので、少なくとも1年間は大事に保管しておきましょう。**
**直前12ヶ月で3回以上は減額という条件から
申請期限は2年間
高額療養費の請求期限は2年間です。
通常は、前の月に支払った分の領収証を集めて申請するのですが、忘れてしまった場合2年以内であれば申請することが可能です。
もしも1月1日~1月31日の医療費を申請し忘れた場合、翌々年の1月31日まで可能です。
期限を過ぎると時効が成立してしまいますので、請求できなくなります。
もちろん、領収証が無い場合には、期限以内でも無理です。
どこに行けば申請できるの?高額療養費制度の申請先
申請に行く際は、健康保険証と印鑑と医療費の領収証を必ず持参しましょう。
既に支払った医療費に対して申請する場合には、銀行の通帳も持っていくと良いでしょう。
国民健康保険の方:お住まいの市町村役場で受け付けています。部課名は自治体によって異なりますので、受付で高額医療費制度の申請に来たと言えば良いでしょう。
中には、自治体などから申請書が送られてくる場合もあります。
地方自治体のページリンク集はこちら
https://www.j-lis.go.jp/lasdec-archive/cms/1,0,69.html
社会保険の方:勤務先を管轄する年金事務所で受け付けています。
年金事務所のリストはこちら
https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/
その他の保険:健康保険には様々な種類があり、中には上記にあてはまらない場合があります。そのような場合は、お勤めの会社の保険を管理している方に質問してください。
申請書の書式
社会保険に加入している方の申請書式です。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150
各自治体の申請書は書式が異なりますので、自治体に直接お問い合わせください。
高額医療費の手続きの流れなど、もっと詳しく知りたい方はこちら
高額療養費制度を利用される皆さまへ – 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/
高額療養費制度を利用される皆さまへ – 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000167493.pdf
高額な医療費を支払ったとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150
最終更新日:2017/08/18