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肝臓がんの化学療法に新たな選択肢【NEWS】

2018年2月10日、学校法人近畿大学は、新たな肝がん治療薬の臨床試験に成功したことを発表しました。(*1)
またこの研究発表は、医学・生命科学系国際学術誌の最高峰とも言われる“The Lancet”という学術誌のOnline版に掲載されました。(*2)

肝臓がんには様々な治療法があります。
例えば、患部を切除したり、針を刺してラジオ波やアルコールなどで焼灼する外科系の治療。
患部にカテーテルを通して直接抗がん剤を注入する動注化学療法、抗がん剤注入後血管を塞ぐ動注塞栓療法などの局所化学療法。
これらは、比較的進行していない肝臓がんに使われる治療です。

一方で、転移や浸潤を伴う進行した肝臓がんの治療には、化学療法以外の治療法が採られることはほとんどありません。
治療は全身に対する抗がん剤ということになるのですが、薬剤の種類が少なく選べないというのが現状でした。

現在、1次治療薬(ファーストチョイス)(*3)として選ばれているのが、ネクサバールR(ソラフェニブ)という分子標的薬ですが、それ以外の薬がないというのが現状です。
今回の研究発表は、ソラフェニブが効かなくなった(耐性ができた)時やソラフェニブがあまり向いていない患者さんに、新たな選択肢ができることとなります。

今回の研究に使われたレンビマR (レンバチニブ)は、既に甲状腺がんの治療薬として国内で使われている薬です。
開発元であるエーザイ株式会社は、2017年に厚生労働省に適応追加の申請をしているとのことから、遅くとも本年(2018年)中に認められる見通しです。

参考文献および注記

(*1)肝がんの新規分子標的薬の有効性・安全性を実証 肝がん治療薬10年ぶりの承認へ道筋|学校法人近畿大学のニュースリリース
http://www.news2u.net/releases/158842

(*2)雑誌名:“The Lancet” ?論文名:Lenvatinib versus sorafenib in first?line treatment of patients with unresectable hepatocellular carcinoma: a randomised phase 3 non?inferiority trial (切除不能肝細胞がんに対する一次治療薬としてのレンバチニブとソラフェニブの無作為化比較臨床第III相試験)

(*3)1次治療薬(ファーストチョイス)
治療対象の病気に対して、最初に投与すべきだと考えられる薬のことを言います。
幾つもの候補の中から多くの症例を分析し、有効性がある程度高く、副作用が少ない治療薬が選ばれたものです。
「ファーストライン」と呼ばれることもあります。