がん治療が長引いた時に問い合わせたい制度(障害年金)
皆様は障害年金と言う制度をご存知でしょうか。
私は、腫瘍内科医の勝俣範之さんがTwitter上にて紹介しておられるのを読んで初めて知りました。
障害年金とは
それでは、障害年金とはどういうものなのでしょう。
詳しくは日本年金機構のページで直接ご確認いただくか、文末の掲載をご参照いただくとして、簡単にご説明すると
病気の症状または病気の治療によって日常生活を送ることが困難な方や、就労に制限が発生する方を対象に、お金を支給するという制度です。
障害という字から、身体障害の制度と混同しがちですが、全く別の制度となります。
また、通常の年金と同じように
・障害基礎年金(*1)
・障害厚生年金(*2)
の2種類があり、厚生年金の支払いがある方は、どちらも支給される場合があります。
障害の状態については、下記の表が参考になるかと思いますが、1~3級の障害に当てはまる方々を対象として障害年金が支給されます。
障害厚生年金は1~3級、障害基礎年金は1~2級を対象としており、数字が増えるほど障害の程度が軽いと言えます。
がん(悪性新生物)を対象とした障害の状態(*3)
支給の条件
上の表に当てはまれば誰もが給付を受けられるかというとそうではありません。
年金給付にあたっては、厚生年金加入者は日本年金機構が、国民年金のみの方は年金事務所が審査をします。
よく表を見ると分かるのですが、審査をする方の判断(裁量)が関係してくるので、当てはまるかどうかが問題になってくるのです。
Twitterをしておられた勝俣範之さんは医師であり、手続きをした経験もあることから、幾つもの貴重な情報が書かれておりました。
日本年金機構のページに書かれていた裁量によらない確定的な条件と、勝俣氏のTwitterを参考にした裁量が関わってくる条件を箇条書きにしてみました。
確定的な条件
・国民年金の方は年金事務所、厚生年金の方は日本年金機構に申請する必要がある。
・初診日(病気が診断されるきっかけとなった日)の前の日に、厚生年金や国民年金を支払っている(加入している)こと。
・がんの発症から1年半が経過していること。
・厚生年金加入者は3級から支給されるが、国民年金のみの者は2級からしか支給されない。
・医師の診断書が必要。(身体障害とは別制度なので、医師であれば誰もが診断書を作成できる)
・疾病が根治した場合には支給が取り消される。
疾病が根治しても障害が残る場合は、一時金が支給されることがあるが、根治により受給資格を喪失する。
・年金受給時も年金を支払う必要はあるが、免除申請をすることが可能。
裁量を含む条件
・がんの再発・転移者であり根治が困難であること。
これは、書類で確認することは出来ませんでしたが、がんの発症から1年半経過してなお治療中ということを考えると、おおむね「再発・転移」による治療が考えられます。
再発・転移ではない例においては、このような長期間治療することは少なく、また治療を行っていたとしても、障害を発生するようなことは少ないと考えられます。
このことから、がんの再発・転移者であり根治が困難であることを持って審査するのだと考えられます。
・厚生年金加入者は認定まで約半年、国民年金加入者は約3ヶ月
この情報は、実際に体験した上での情報だと思われますので、検証は困難です。
・老齢年金を受給していた方は受給が困難
この情報も、実際に体験した上での情報だと思われますので、検証は困難です。
そもそもが、65歳未満の方を対象としていますので、困難というよりも無理なのかもしれません。
まとめ
悪性新生物(がん)にかかってしまい、1年半以上闘病をしておられる方は、一度医師や年金事務所(または日本年金機構)に相談してみられることをお勧めします。
治療を行っているわけですから、どうしても費用は発生しますし、お仕事にも制限がかかってしまうことは珍しいことではありません。
必ずしも認定されるわけではありませんが、問い合わせてみる価値は十分にあるでしょう。
注記
*1(日本年金機構のページより抜粋)
国民年金に加入している間に初診日(障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師の診療を受けた日)のある病気やケガで、法令により定められた障害等級表(1級・2級)による障害の状態にある間は障害基礎年金が支給されます。
※平成28年4月分からの年金額(定額)
975,125円(1級)
780,100円(2級)
※18歳到達年度の末日までにある子(障害者は20歳未満)がいる場合は、子の人数によって加算が行われます。
※ 障害基礎年金を受けるためには、初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていること(保険料納付要件)が必要です。
(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
*2(日本年金機構のページより抜粋)
厚生年金に加入している間に初診日のある病気やケガで障害基礎年金の1級または2級に該当する障害の状態になったときは、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。
また、障害の状態が2級に該当しない軽い程度の障害のときは3級の障害厚生年金が支給されます。
なお、初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときには障害手当金(一時金)が支給されます。
※障害厚生年金・障害手当金を受けるためには、障害基礎年金の保険料納付要件を満たしていることが必要です。
*3(日本年金機構のページ)
等級については
こちらの書類に書かれていますが、悪性新生物(がんの事)による障害でももらえる事がわかります。