脱毛予防に新たな手法が開発される【NEWS】
抗がん剤を使った治療では、様々な副作用がありますが、そのひとつに脱毛が挙げられます。
特に、乳がんでの抗がん剤治療では脱毛の割合が非常に高く*、大きな負担となっています。
そんな中、株式会社アデランスと国立大学法人大分大学によって、乳がん患者を対象とした脱毛に関する臨床研究の最新結果が発表されました。
臨床研究の中心となるのは、「新規αリポ酸誘導体」と言う物質を含んだ患部に塗るためのゼリーです。
α-リポ酸はチオクト酸 (Thioctic acid) とも呼ばれる物質で、その酸化体のβ-リポ酸と区別するためα-リポ酸と呼ばれています。
豚肉、牛肉、ほうれん草などの食品に含まれており、ビタミンに類似した物質と区分されています。
一方、ゼリーやローションとして使おうとすると、安定的に配合できないと言う特徴を持っているため、ゼリーとして使えるように開発されたα-リポ酸のことを「新規αリポ酸誘導体」と呼んでいる様です。
2017/12/15日の大分合同新聞によると**
共同研究は2013年から。14年7月から15年5月にかけて、20~80歳の女性患者100人を対象に臨床試験を実施した。抗がん剤治療と併せて毎日、頭皮とまゆ毛にジェルを塗り続けたという。
ジェルを塗った期間は12週間と24週間の2パターン。抗がん剤をやめてから3カ月が経過した時点で、頭皮部分の50%以上が脱毛している人の割合を調べた。結果はいずれのパターンも2割以下で、何もしない場合は8割になるという。
脱毛そのものを完全に止めると言う働きは見られなかったものの、脱毛の度合いを明らかに抑制したと考えられます。
また、文部科学省のページに掲載された中嶋 健太郎氏(大分大学所属の研究者)の資料***によると
・脱毛後に再び生えてくる毛髪が予想外に質が良いことが 報告されており、引き続き基礎研究をすすめる予定である。
とあります。
今回発表された内容は、株式会社アデランスより、化粧品として2018年に発売が予定されているとのこと。
抗がん剤の脱毛で悩む方々の手助けとなることが期待されています。
参考文献
*脱毛の割合が低い治療もありますが、脱毛率が90%を超える抗がん剤治療が数多くあります。
**脱毛 ジェルで抑制 抗がん剤の副作用(大分合同新聞の記事)
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2017/12/15/JD0056440827
***抗癌剤治療の副作用による脱毛の悩みを新規抗酸化剤研究が救う
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/11/14/1372564_04_03.pdf