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目だけではない、ビタミンAの3つのはなし。

からだに欠かすことのできないビタミンですが、ビタミンを初めて発見したのが日本人だということをご存知でしょうか?
それが、鈴木梅太郎と呼ばれる研究者です。
彼は、1910年に米ぬかに含まれる有効成分を抽出し、オリザニン(後のビタミンB1)と言う名前で発表しました。
世界初の発見者であった鈴木梅太郎ですが、日本語で論文を発表したことが仇になり、発見者の地位は長いことドイツ人の科学者フンクだと考えられていました。

20世紀に入るまでビタミンの発見はお預けですが「体に欠かすことのできない何かがある」ということは、18世紀には既に疑いが持たれていました。

軍人の中には、長期間の軍役によって病気になる下級兵士が数多くいました。
これは、いわゆる補給の関係で、特に下級兵士はバラエティに富んだ食事が出来ずにいたことが原因です。
兵士の健康問題は、様々な国で問題となっていたようで、様々な工夫を凝らしていたのだそうです。

ビタミンAとは

さて、本題のビタミンAですが、ビタミンAにはいくつもの種類があります。
レチノール、レチナール、レチノイン酸の3種類をビタミンA1、これらが変化したものをビタミンA2と呼び、総称してビタミンAと呼んでいます。
人と最も関わりが深いものが「レチノール(Retinol)」で、体内にあるビタミンAの大半はレチノールです。

タイトルに、目のビタミンと書きましたが、レチノールとはブタの網膜(Retina)から見つけられたためにこの名が付きました。
iPhoneの液晶のことをRetinaディスプレイといいますが、このRetinaも網膜のことです。

また、網膜から見つけられたということだけでなく、現実に目の健康には必須のビタミンです。

動物にしか含まれないビタミンA

様々な食物に含まれるビタミンAですが、厳密にはビタミンAを含むのは動物だけで、植物に含まれているのはビタミンAの材料となる物質です。これらを総称してカロテノイドと呼びます。

カロテノイドは植物に含まれている赤や黄色の色の元となる色素で、その数は700種類以上も確認されています。
とはいえ、ビタミンAの材料となるのは、その中のほんの数種類です。

さて、最も有名なカロテノイドは、人参に含まれるβカロテンですが、βカロテンは動物の体内に入った後にビタミンAに作り変えられます。
他にもビタミンAに作り変えられるカロテノイドがありますが、これらをプロビタミンAと呼びます。
ビタミンAもプロビタミンAもどちらを食べても、最終的にはビタミンA(レチノール)として働きますので心配はいりません。

目で活躍するビタミンA

ブタの網膜から見つかったレチノールですが、目で見つかったのはたまたまではありません。
網膜というのは、本当に薄い膜です。目を通して入ってきた光を、いわば映画館のスクリーンの様に映し出します。

単にスクリーンに映し出すだけでは意味がありませんので、網膜というスクリーンが働くためには、ロドプシンと言う、光に反応する物質が必要となります。
網膜に映った映像にロドプシンが反応して信号を発し、脳に届くというのが目が見える仕組みです。

このロドプシンの材料となるのが、ビタミンAです。
このため、ビタミンAはRBP(レチノール結合タンパク質)と言う専用の運び屋を使って、どんどんと目に向かって運搬されます。
ブタの網膜から見つかったのは、RBPによってせっせと運ばれたレチノールだったというわけです。

ビタミンAが足りないと、夜盲症(夜になると目が見えにくくなる)になると言われるのは、このロドプシンが少ないことが理由です。
材料が足りないので作れないのです。

皮ふをはじめ細胞で活躍するビタミンA

ビタミンAが活躍している場所は、目だけではありません。
皮ふや粘膜を健康に保つ働きをしています。
また、細胞の分化や成長にも大きく関わっています。妊婦さんがビタミンA不足になると、胎児が奇形になる可能性が高まりますし、お子様ですと、健やかな成長ができなくなります。

このように、ビタミンAは様々な場所で大活躍しているのです。

ビタミンAが多く含まれる食品

では、このビタミンAはどうすれば摂ることができるのでしょうか。
最初にご説明したように、ビタミンAは動物から、ビタミンAの材料であるカロテノイドは植物から摂ることが出来ます。
当然、材料であるカロテノイドよりもビタミンAを直接摂ったほうが効果は高くなります。

厚生労働省によるビタミンAの解説ページによると、その働きの差は12倍にもなるそうです。

ビタミンAを最も多く含む食材は、動物のレバーです。
牛乳100g レチノール38ug
生卵100g レチノール470ug
うなぎ蒲焼き100g レチノール1500ug

うなぎの蒲焼は一見すごそうに見えますが、鳥のレバーや、牛のレバーは、格が違います。
豚レバー100g レチノール13000ug
鶏レバー100g レチノール14000ug

植物でに含まれるカロテノイドの量をビタミンAに換算すると
にんじん100g レチノール720ug
ほうれん草100g レチノール450ug
しゅんぎく100g レチノール440ug
小松菜100g レチノール260ug
(全て調理方法はゆで)

厚生労働省によるビタミンAの解説ページより抜粋

成人一人あたりの推奨量は、およそ900ug/日ですので、鶏のレバーを毎日10g食べていればクリアできます。
余分なビタミンAは貯蔵されますので、毎日でなく、週に1回とか、月に2回とかレバーを食べれば十分でしょう。

今回は、ビタミンAについて解説してみました。