世界で初めて発見されたビタミン、ビタミンB1
ビタミンAの記事にも書きましたが、ビタミンを世界で初めて発見したのは、日本人科学者の鈴木梅太郎でした。
1910年に日本語で発表された論文は、正確に伝わらず、翌1911年にドイツ人科学者フンクによって発見されたことによって、世に認識されるようになります。
そして、1912年にフンクによって「vit」(生命の)「amine」(アミン)と名付けられることになりました。
これが、現在のビタミンB1に相当するのですが、当時は不純物を取り除いて純粋なビタミンを作ることが出来なかったそうです。
その後、研究が進む中、ビタミンはアミンではないことがわかり、amineという呼称は適当ではないという事になり、現在のvitaminと言う言葉に変わることとなります。
vitaminと言う名前をつけた際に、適当に名前を割り振った結果が現在のビタミンAから始まる名前です。
どんどんとアルファベット順に名前を付けて行ったものの、後で同じ仲間であることがわかったり、ビタミンで無いことがわかったり、なかなかに適当な歴史がありますがそこは割愛して、ビタミンBの話をすることとします。
ビタミンBとは
鈴木梅太郎によって発見されたビタミンB(オリザニン)ですが、発見の切っ掛けは米ぬかでした。
白米で育てた鶏や鳩が、「脚気」の様な症状をあらわすことから、白米には色々な成分が不足していることに気づきました。
その後、米ぬかに含まれるであろう成分の抽出に尽力し、1910年にオリザニンを発見することとなったのです。
脚気というのは、ビタミンB1が不足することで、心不全や抹消神経に障害が出る病気です。
椅子に足を浮かせて軽く座って、膝を軽く叩く検査を行った経験は無いでしょうか?
これは、足の反射を見ることで、末梢神経の障害がないか、脚気がないかを調べる検査です。
また、心不全を原因とする「むくみ」も出やすくなります。
このように、心臓の健康や、神経の健康に大きく関わっているのがビタミンB1という事になります。
またビタミンBは、ビタミンB群と呼ばれるほどに種類が多いことが知られています。
ビタミンの名称は簡易的に振られたものですので、正式名称は他にあります。以下に、正式名称と一緒に列記してみましょう。
B1:チアミン
B2:リボフラビン
B3(ナイアシンとも呼ばれる):ニコチン酸およびニコチン酸アミド
B5:パントテン酸
B6:ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン
B7:ビオチン
B9:葉酸
B12:シアノコバラミン
途中欠番がありますが、発見当時はビタミンだと考えられていたものの実は違ったと言うような理由によって欠番となっています。
最終的に8種類に絞られましたが、これらに共通するのは「水溶性(水に溶ける)」「炭水化物(糖質)をエネルギーに変える為に必要」という特徴です。
人間は、炭水化物(糖質)をエネルギーに変えて生きていますので、ビタミンB群が足りないと、エネルギー不足に陥ってしまいます。
特に、神経や脳は糖質を使った活動を中心としていますので、不足することで障害に繋がるという訳です。
ビタミンB1を多く含む食品
米ぬかから見つかったと言うエピソードでも推測できますが
玄米、全粒粉、そば と言った胚芽を残したままの穀物に多く含まれています。
大豆やゴマ にも多く含まれます。
ピーナッツ にも多く含まれます。
動物由来の食材であれば
豚肉 が一番良いでしょう。
うなぎ も悪くありませんが、絶滅危惧種ですので無理に食べる必要はないでしょう。
タマゴ にも多く含まれています。
今回は、ビタミンBについて大きく話をしてみました。
個別のビタミンB群と健康については、流石に8種類もありますので、それぞれの記事にてご説明させて頂きます。